2008年7月。
8日間にわたったトランスシベリア2008の
ロシアステージを終え、国境を越えて、
モンゴルに入った。

オルギーという最初の大きな街を通り越し、
山の大きな斜面が僕ら一行のキャンプ地だった。
ポルシェ・カイエントランスシベリアの
はるか向こうに広がって見えているのが、
オルギーの街だ。

国境を越えた日とその翌日はラリーは休み。
休息とクルマの整備に充てられた。
誰かが思い付いたのか、それまでまともな
シャワーを浴びることができなかったので、
オルギーの街にあるホテルに部屋を取り、
シャワーを浴びに行った。

こういう時には、自然と仲の良い者同士が
誘い合うことになり、僕らチーム・ポルシェ
ジャパンはポルシェ・チャイナのふたりと
交代でシャワーを使った。

ホテルとは言っても、日本のそれとはほど遠く、
正確に言えば、山小屋の大きなものだろう。
シャワーもお湯はホンの少ししか出なかった。
それでも、椅子と机、風と直射日光が当たらない
部屋はありがたく、僕はGPSへのウェイポイントの
緯度と経度の打ち込み作業を一気に行えた。

自然の中でテントに泊まる生活を続けていくと、
五感が解放され、鋭くなっていくのが心地よい。
だが、やはり町育ちゆえの限界があって、
シャワーと椅子と机にホッとさせられた。
それでも、この晩は部屋には泊まらずに、
またテントに戻ってしまった。
降るような星空だった。

2011年5月月表紙

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