月報 2009年1月January


●1月14日 日産フェアレディZ Nissan Fairlady Z

日産フェアレディZのメディア試乗会に出席する。

会場のヒルトン小田原から、箱根ターンパイクを往復。新型Zは、写真やテレビCFで見るより、実物の方が数段カッコいい。旧型よりホイールベースを10センチも短くしたので、2次元で見ると、寸詰まりになった印象がぬぐい去れなかった。サイドウインドの後半部分も直線と曲線が整理されていないようで、スッキリしていなかった。それも、ホイールベース短縮に伴って全長を短くした影響ではないかと見ていた。しかし、そんな心配は杞憂に終わって、実物は見事に筋肉質な身体に引き締まっていた。光線の加減で陰影に富み、とても存在感がある。

ホイールベース短縮とさらなる開発の甲斐もあって、新型Zは山岳路を気持ちよくクイックイッと曲がっていく。このままコーナーが永遠に続けばいいのにと願ってしまうのは、平坦な直線路や緩いコーナーでは、アラばかりが目立ってしまうからだ。

エンジンフィーリングは退屈で、回すとうるさい。6速MTのシフトストロークは長く、動きも渋い。変速時に最適な回転数に制御する「シンクロレブコントロール」も、ボタンを押して選ばなければならないなんて、腰が引けている。本当にいいなら、それだけに統一するべきだろう。

穏やかに流していると、ミッションやデフ、タイヤなどからの雑音が割り込んで来て、喧しい。大人が乗るスポーツカーとしては、デリカシーに欠けている。買うなら、ATか。コーナーも大切だが、直線をゆっくり走っても味わい深いスポーツカーが大人には求められるのではないか。

たしかに、ホイールベース短縮はコーナリング性能を大幅に高めてくれたが、逆にそれ以外のスポーツカーの楽しみを置き去りにして来てしまったようだ。

試乗後、感じたことと考えたことを日産のエンジニア氏に伝えると、「おっしゃる通りです」との答えが返って来たのが、ちょっと意外だった。弁解か反論されるかと思っていたからだ。会話の印象からは、僕の言いたいことも、きちんと通じているようだ。
「もっと追求したいところもあるのですが、なにぶん、開発コストとの兼ね合いと順番がありまして……」

事務的にでもなく、言い訳でもなく、この時のエンジニア氏の話は、
とても誠実で共感できた。

Zも、大変なんだ。

そう考えれば、歴代Zが、もともとアメリカで大量に売るために作られたクルマだったということを思い返せば、納得がいく。無いものねだりをしても仕方がない。昔のように、Zが若者中心に売れていくのならば、コーナリング性能中心に開発が進められていっても構わないだろうが、新型Zの中心的な購買者層はもはや若者ではない。その辺りの戦略を見誤った結果でなければいいのだが……。 


●1月18日 アルファロメオ・アルファ146ti  ALFAROMEO Alfa146ti

『NAVI』の連載「10年10万キロストーリー」の取材で、新潟へ。アルファロメオ・アルファ146tiを10年間で20万キロ乗り続けているN氏をインタビュー&撮影。アルファ146tiは正規輸入されたなかった並行輸入車だったが、ヨーロッパの小型実用車の実力の高さを垣間見ることができた。


 

 

 

●1月23日 ポルシェ・ミュージアム Porsche Museum

ドイツのシュツットガルト・ツッフェンハウゼンで、1月31日にオープンする新しいポルシェのミュージアムを前の週に見学させてもらった。20台足らずのクルマを詰め込んでいた、これまでのものの先に建物ごと改めたミュージアムは見事のひと言に尽きる。建物は、代理店と建築事務所にイニシアチブを取られ過ぎてしまった感があるが、館内の展示は、とてもよく考えられている。『モーターマガジン』誌4月号に6ページの記事を書いたので、そちらを参照していただきたい。


 

 

 

●1月25日 ポルシェ・ボクスターS Porsche Boxter S

ミュージアムを見学した翌日、イタリアのシチリア島で、新型ボクスターのメディア試乗会に参加した。

昨年の911に始まった、エンジンの直噴化とトランスミッションのPDK化はボクスターにも及び、ボクスターSは両者を備え、ハイパワーと好燃費を両立した。シチリア島東北端の山頂の街、Ericeへの急峻な山道を往復するドライビングでも、その卓越したハンドリングと加減速性能を十分に示した。


 

●1月28日 UAZ

『ENGINE』誌恒例の大磯輸入車試乗会に参加した。日本で購入できる輸入車60数台を大磯プリンスホテルに集め、多数の自動車評論家が招聘された。各自割り当てられたクルマの乗り、箱根ターンパイクや西湘バイパスなどを走る。詳細は、『ENGINE』4月号に掲載されています。割り当てられていなくても、乗ってみたのが、ロシアの4輪駆動ワンボックス「UAZ」。まさか、UAZと日本で再会できるとは思っていなかったので、驚き、そして嬉しかった。UAZはロシアだけでなく、カザフスタンやモンゴル、中国西部など、中央アジア全域で広く使われている。トランスシベリア2007の休憩日に乗ったことがあるが、おそろしくプリミティブな乗り心地にビックリさせられたが、これでなければ家族や時には山羊などを乗せて荒野を走破できないことに納得させられた。
クルマは、風土と文化のたまものである。