プジョー308CC
スバルレガシィ

 

 

 

 

 

月報 2009年5月 May


●5月13日 フォルクスワーゲン・シロッコ
  VOLKSWAGEN Scirocco

山梨県小淵沢で行われたフォルクスワーゲン・シロッコのメディア試乗会に参加する。高校生の頃、初代シロッコにはとても憧れていたので、感慨深い。売り出し中のジョルジェット・ジウジアーロによる、“折り紙細工”と評されたシャープな線と面のエクステリアデザインのカッコ良さったらなかった。

また、「前輪駆動+テールゲート付きボディ」という構成の新しさにも、大いに興味をそそられた。当時、フォルクスワーゲンといえば、まだ、天然記念物的に古かったビートルのイメージが大きかった。矢継ぎ早に発表されたシロッコとゴルフとパサートによって、フォルクスワーゲンのイメージは一新された。あの頃の同社の躍動感は、いまでも忘れられない。

その後、シロッコは2代目にモデルチェンジし、さらにコラードというモデルに発展し、そのコラードも消滅してしまった。そして、今年、初代から数えて35年ぶりにシロッコが復活した。「前輪駆動+テールゲート付きボディ」という構成とスポーツスペシャリティクーペという役割は変わらない。幸いだったのは、この種の“復活モノ”にあり勝ちなレトロ風味の“コスプレ”デザインを採用しなかったことだ。

走りっぷりは、実に見事なものだった。ヘタなスポーツカーは軽く置いていかれるほど速く、コーナリングに優れている。シャープに向きを変え、コーナーに進入しても、前輪駆動にしては例外的にリアタイヤがよく粘る。2リッターエンジン版に付く「DCC」サスペンションは、このコーナリングの一連の動きで発生するノーズダイブ&テールスクオットとロールが相互に制御され、まるで平行移動しているかのようにコーナリングのキレがいい。荒れた路面での路面追従性が良く、ハイペースでコーナリングしても暴れることなく、なおかつ乗り心地が乱されない。“人工的”と評されることがあるかもしれないが、レベルが高い“人工的な”制御は、デキの悪い“自然な”制御なしを超越する。

1.4リッター版には「DCC」は付かないが、それでもシャシーとサスペンションの素質の幹が太いので、ナチュラルで好ましい。TFSI+7速DSGも、あい変わらずいい仕事っぷりだ。左足ブレーキでエンジンが失速する設定だけは、そろそろ改めて欲しい。つねに大人を4人乗せる必要のない人には、大いに勧めたい。程度にタイトな車内空間が気持ちを引き締めてくれる。


 

●5月13日 プジョー308CC
  PEUGEOT 308CC

シロッコを乗り終わった後、佐久経由で、軽井沢へ。今度は、プジョー308CCのメディア試乗会へ。

207CCや307CCなど、プジョーはここ最近「CC」のラインナップを拡充してきている。正確には、“最近”ではなく、“ずっと昔”からなのだ。プジョーが電動開閉式ハードトップを発表したのはなんと75年前の1934年の「401エクリプス」にまで遡る。途中、ずっと休みがあって、66年後の2000年に「206CC」を発表して、蘇った。休んでいた間には、布の幌を使ったカブリオレが作られていた。

布か? ハードトップか?

それぞれ長所と短所があり、クルマによっても向き不向きがある。

2シーターのスポーツカーや、高級車には布のカブリオレが用いられることが多い。スポーツカーは重量の軽さを要求し、馬車時代から続くエレガンスを再現するのが高級車だ。

では、メタルトップのCCは、どんなクルマがふさわしいのかといえば、308CCのような4人乗りのセダンにピッタリなのだ。ハードトップなので、閉めて走っている時の静粛性や耐候性の高さが、CCの長所となるからだ。リアシートにも誰かを乗せて走る場合には、それらの快適性の確保は大切になってくる。

また、4座オープンカーにとって最も大切なことはスポーツカーのように飛ばすことではなくて、4人乗ってオープンで走った時にどれだけ楽しさを演出できるかどうか、だ。シートと乗り心地が快適で、後席から外がどう見えるかといった視界も大切。

走り出して、308CCで最初に驚かされるのが、エンジン。最新の直噴ターボエンジンは、たった1.6リッターしかないのにトルクが十分に発生し、どの回転域からも踏めばすぐに反応する。レスポンスが鋭く、とても扱いやすいが、出しゃばらず、縁の下の力持ちに徹しているところが好ましい。

10km/hまでなら走行中でも開閉できる電動ハードトップも、オープンエアモータリングの楽しさを昔から熟知しているプジョーならではの設計だ。開閉時間20秒というのは標準的だが、10km/hと0km/hではオープンで走る頻度が圧倒的に違ってくる。10km/hまで確保されているならば、街中のほとんどのタイミングの赤信号でも開閉できる。つまり、走っている間中の、ほぼいつでも開け閉めできるわけだから、面倒臭がって閉めっ放しにはならない。贅沢で、大人っぽく味わい深い。


 

●5月14日 ジャガーXK PORTFOLIO/XKR
  JAGUAR XKポートフォリオ/XKR

ジャガーの2ドア4シータークーペXKポートフォリオとその強力版XKRのメディア試乗会へ参加するために箱根強羅へ。スタイルは変わらないが、エンジンとサスペンションの電子制御方式が全面的に改められた。エンジンは排気量が5リッターに拡大されたと同時にガソリン直噴方式を採用。サスペンションの電子制御は、これまでのノーマルとスポーツの2段階から無段階へ。ポートフォリオとは、XKに豪華な内装を組み合わせた中間グレードだ。

柔らかな乗り心地とシャープなハンドリングという、相反する目標をとても高いレベルで両立している。マイナーチェンジ前でも、そのレベルは高かったが、新型では一層と際立った。優雅なスタイルとは裏腹に、おそろしく懐の深い走りっぷりを見せてくれる。スパーチャージャーの付いたXKRもXK同様の改変が施され、510馬力という大馬力を発生する。パワーの出方やエンジン音などは過激ギリギリ一歩手前。パフォーマンスに対して、シートが役不足。XKの性能がここまで上がったので、個人的には、XKRには硬派方向への路線変更が必要かと思った。

 

●5月20日 トヨタ・ランドクルーザー
  TOYOTA Landcruiser

『NAVI』誌で連載中の「10年10万キロストーリー」の取材のため、いざ鎌倉へ。7年11万キロ乗られた1987年型トヨタ・ランドクルーザーに乗り、その持ち主にインタビュー。鎌倉の細い路地を、巨体がスイスイ進んでいく。ボディの見切りが良く、視界に優れ、ハンドルが良く切れるので実に運転しやすい。ランクルは、世界中で絶大な支持を集めているが、その理由は、こうした運転しやすさ
にもあるのだろう。

 

●5月25日 トヨタ・プリウス
  TOYOTA Prius

発売直後に予約が11万台あまりも入ったと、新聞やテレビニュースなどの一般メディアでも広く話題に上がったトヨタ・プリウス。メディア向け試乗会で乗った第一印象をいち早く求められて、インターネットの自動車サイト『オートックワン』に翌日に送稿したものを転載する。

「新型トヨタ・プリウスに乗り込んで、まず最初に気付くのは、メーターパネル内の情報表示がよく整理されて、見やすいことだ。カーナビ画面とメーターパネル内に別れていた旧型プリウスや、うまく整理され切れていないホンダ・インサイトとは大違い。ハイブリッドカーに何が必要で、何が大切なのか、?代作り続けてきたノウハウの蓄積がある。

しかし、オーリス譲りの、宙に浮いたようなセンターコンソールがプリウスにも採用されているのは理解できない。使いにくい上に、空間を無駄にしている。おそらく参考にしたのであろうボルボ各車は、もっとうまく作られている。また、旧態依然とした価値観とセンスで設置されているシフトレバーの形状と位置に、必要性が感じられない。せっかくのハイブリッドカーの新しさが、台無しだ。小さなスイッチやボタンでも機能的に問題ないはずで、“新しさ”を演出できた上に、空間も確保できる。

走り出して感じるのは、乗り心地のタッチのキメが細かくなったことと、速度を上げた時の安定感も向上したこと。パワートレーンの余裕も生じ、静粛性も高まった。総じて、走りっぷりは向上し、重いバッテリーとモーターを積んでいることを忘れたかのように、軽快に走る。快適性も高まった。

だが、基本中の基本であるドライビングポジションに疑問を感じた。L、S、Gと3グレードあるうちの最廉価のLグレードに限った話だが、シート高が調整できない。個人差にもよるが、そのポジションは高過ぎで、ハンドルを調整しても、最後まで最適なポジションを定めることができなかった。ポジションが高いので、コーナリング時のロールも大きく感じられるから、このまま長距離を走り続けると疲労も増すはずだ。10・15モード38km/lという値だけでLグレードに決めてしまわないで、必ず、SもしくはGグレードをシート高を調節して試乗してみる必要がある。

さらに、試乗時のチェックポイントとして、2分割されたリアウインドの見え具合を、ルームミラー越しに確認しておくといいだろう。エアスポイラーが後方視界、特に走行中の後続車を妨げてしまうことがある。個人差もあり、気にならない人もいるかもしれないが、購入後には改造や変更ができないから、よく確認しておくことを勧める。短時間の試乗会では、実際的な燃費値まではテストできなかったが、新型プリウスはクルマとしての熟成が進んだことは確かだった。」

 

 

●5月26日 フォルクスワーゲン・パサートヴァリアントR36
  VOLKSWAGEN Passat Variant R36

『モーターマガジン』誌の連載「プレミアムカーのこころ」の取材のため、フォルクスワーゲン・パサートヴァリアントR36で群馬県榛名山から長野原、軽井沢を回って東京に戻る。もともと優れた実用ワゴンであるパサートヴァリアントに大きな3.6リッターV6エンジンを搭載したR36は、速く、高速道路での安定感に優れる。意外だったのは、山道でボディの大きさを感じさせない軽快感を示したこと。

 

●5月29日 スバル・レガシィ
  SUBARU Legacy

フルモデルチェンジしたレガシィ。フロントマスクやDピラーなど、これまでのレガシィの視覚的な特徴をあえて捨て去り、新機軸を打ち出してきた。これまでのレガシィのイメージが強かったので、慣れるのには少し時間が掛かるだろう。山梨県の河口湖と勝沼周辺を走るコースが設定されたメディア試乗会での印象は、走りっぷりは快適に上質に向上しながらも、スバルらしいダイレクトな運転感覚を失っておらず、好印象を得た。2.5リッター、2.5リッターターボ、3.6リッターと3種類のエンジンに、「ツーリングワゴン」とその腰高版の「アウトバック」、4ドアセダンが組み合わされる。2.5リッターのアウトバックと2.5リッターターボのツーリングワゴンがバランスに優れているよう感じた。改めて、長距離を乗ってみたい。